私の心荒岛囚終焉

私の心荒岛囚終焉

太陽がまだ

そうヒカルはリュウイチに告げる大腸癌 標靶藥と、とりあえずひとりマンションの部屋に戻り、財布と携帯だけを持って部屋を後にし再びリュウイチのもとへと戻って来た。


ヒカルが最近行きつけのオープンテラスのカフェ、その窓際の席にふたりは座っていた。
もう夕方だと言うのに、真夏の太陽がまだ今日と言う日は終われない・・・とでも言いたげに外のテラス席を照らしていた。
ヒカル。
なんで俺に、話してくれなかったんだよ?」
何を?」
何をって・・・、子供のことだろ。
それ、俺の子・・・だったんだろ?」
と言ってリュウイチはヒカルの右掌癌症食療を自分の両手で握りしめながら、うつむき加減にそう言った。
リュウイチのせいじゃないよ。
だから・・・、わたしのことはもういいの」
そんなの無理だろ。
俺は・・・、俺はミカリンとはもう別れようと思って」
駄目!
駄目だよ。
わたしのせいなんかで別れちゃ。
わたしは・・・、わたしはそんなつもりなんてないから」
そうヒカルはただ必死になって事態を修復することだけを考えていた。


俺・・・、やっぱりオマエのことが好きなんだ。
初めて会った時から多分・・・、ずっと」
それはちがう!
そんな気がしただけ。


そういう風に・・・、わたしがそうさせたの。
ごめんなさい」


ええ?
オマエ・・・、何言ってんだ?」
わたしがリュウイチを誘惑したの。
だからわたしが悪いの。
リュウイチのせいじゃない」
オマエ、だ、だから何言ってんだって?!
お、オマエは何もしてないじゃないか?」
したのよ。
だからもう忘れて!」
ヒカル、俺さあ・・・、再来月の終わりからロスに行くんだ」
ロス?」
そう。
ああ、そう言やあオマエ憶えてるだろう?あのマモル。
アイツがもう2年ぐらいあっちにいて、一緒に俺の服の店やろうってずっと言ってて。
だから俺、もう決めたんだ」
そう」
だからさあ、ヒカルも一緒に来てくれないかな?
向こうで俺と一緒に」
無理だよ!
ミカリンと行きなよ!」